陶芸家・北川和喜が創造する唯一無二の器:工芸とプロダクトの境界を探る

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陶芸家・北川和喜が切り拓く、工芸とプロダクトの垣根を越えた器の世界

手仕事の温かさが光る「工芸」と、均一な美しさを追求する「プロダクト」。
一見、対極にあるように思えるこの二つの世界を巧みに融合させ、新たな陶磁器の可能性を切り拓いている作家がいます。

それが、岐阜県多治見市で活動する陶芸家、北川和喜さんです。

「工芸とプロダクトの境」をコンセプトに、独自の製法で制作する北川さんの作品は、見る者の心を惹きつけ、私たちの暮らしに新しい彩りをもたらしてくれます。

今回は、北川さんにお話を伺い、製作の思いやこだわりについてお伝えします。

「鋳込み」と「練り込み」が織りなす唯一無二の色合い

北川さんの作品の核となるのは、陶磁器の技法である「鋳込み」と「練り込み」を応用した独自の製法です。

引用画像:公式HP

鋳込み成形

石膏型に液状の磁器土を流し込んで成形する鋳込みは、同じ形状のものを高い精度で複数作ることができる、プロダクトの特性を持つ手法です。
北川さんは、使う人の手になじみ、使い勝手の良い器を目指し、自身でデザインした原型から石膏型を削り出して製作しています。
これにより、均一で美しいフォルムの作品が生み出されます。

練り込み成形

一方、陶磁器用の顔料を混ぜ込んだ複数の色土を、型の中に流し込んで模様を作る「練り込み」の手法は、まさしく工芸の特性を持つものです。
この手法は、土の混ぜ方や色の流し込む量、タイミングによって、一つひとつの作品の色合いや模様が異なる、唯一無二の仕上がりとなります。

「鋳込み」と「練り込み」2つの手法を組み合わせることで、工業製品のような洗練された統一感と、手作りの温かみと偶然が作り出す、二度と再現できない独特の表情の作品が生まれるのです。

「プロダクトの良さ」と「工芸の良さ」の融合

引用画像:公式Instagram

北川さんは、プロダクトの持つ「均一な統一性」と、工芸の持つ「手作りの唯一性」という、それぞれの良さをあわせ持つ作品を目指しています。

北川さんの作品は、形状は型によって安定しています。
しかし、その模様は製作するごとに変わり、全く同じ色合いや模様の作品は二度と作ることができません。
この「一期一会」の出会いが、器に特別な愛着を持たせてくれます。

この唯一性は、単なる偶然によるものではありません。
北川さんは意図的に色合いを毎回変えたり、顔料の濃度を調整したりすることで、作品に無限のバリエーションと個性を与えているのです。

暮らしに寄り添うデザインと品質

引用画像:公式Instagram

北川さんの作品は、カラフルでポップな印象を持ちながらも、どんな料理や飲み物を入れても映える、使いやすさを兼ね備えています。

現在、以下の4つのシリーズを展開しており、それぞれが異なる魅力を放っています。
食卓を明るく彩る鮮やかな色合いから、静かで落ち着いたトーンのものまで、様々なライフスタイルに寄り添う作品を見つけることができます。

・マーブル:成形時、複数の色土を型の中に同時に流し入れることで模様を出すシリーズ


・刷毛目:筆を使い、​色土を加飾していくシリーズ


・化粧:スポンジを使って​、色土を加飾していくシリーズ


・重色目:色の層になった生地を成形、かんなで内側の層の色を削り出して模様を作るシリーズ

また、北川さんはOEM(他社ブランド製品の製造)でのオリジナルの器の依頼も承っています。
この場合、色の濃度を指定することはできますが、模様は全く同じものを製作することはできません。
この誠実な姿勢もまた、作品への信頼を深めてくれます。

探求の軌跡と未来への展望

アートのようなランプシェード:公式Instagram

1991年京都府に生まれた北川さんは、京都精華大学でプロダクトデザインを学びます。
その後、岐阜県多治見市陶磁器意匠研究所で陶芸の専門的な技術を身につけました。
デザインと工芸、両方の分野で専門的な知識と技術を磨いてきた彼の経歴は、その独自の作風に深く影響を与えています。

現在は岐阜県多治見市を拠点に活動し、公募展などにも積極的に挑戦しています。

北川さんの作品は、単なる器ではありません。
それは、彼が追求する「工芸とプロダクトの境」というテーマの、一つの答えであり、私たちに「本当に良いものとは何か」という問いを投げかけているようです。

プロダクトと工芸の境にあるオンリーワンのうつわで暮らしをもっと楽しみませんか

北川和喜さんの作品は、洗練されたデザインの中に、手仕事の温かさと、偶然が織りなすアートが共存しています。

日々の暮らしの中で、ふと手にした時に感じるその唯一無二の美しさは、私たちに小さな喜びを与えてくれます。
ぜひ、お気に入りの一品を探して、北川さんの作品がもたらす、新しい器の体験を味わってみてください。

使ってもよし、飾ってもよしのアートな実用品がある暮らしは楽しいですよ。

北川和喜さん:公式HP

北川和喜さんについて
略 歴
1991年 京都府生まれ
2014年 京都精華大学 デザイン学部プロダクトデザイン学科 卒業
2016年 岐阜県多治見市陶磁器意匠研究所 卒業
岐阜県多治見市で作陶活動
公式HP:https://www.ki-ta-ceramics.com/


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