狭山茶の常識を変える「大西園」|伝統の技と革新が織りなす、一杯の物語

埼玉県入間市。見渡す限りに広がる美しい茶畑は、「日本三大茶」の一つ、狭山茶の故郷です。
この地で、江戸時代末期から約250年にわたり、茶の道を究め続けている伝統ある茶農家があります。
それが、大西園製茶工場。
そして、この伝統を守りながらも、新たな挑戦を続ける14代目・中島毅さんの物語は、一杯のお茶が持つ無限の可能性を私たちに教えてくれます。
「永世茶聖」の称号、その圧倒的な実績

大西園の14代目を継ぐ中島さんは、まさに日本の緑茶界における若きホープです。
中島さんが持つ輝かしい功績の中でも、特に際立つのが「手もみ茶」の分野。
全国手もみ茶品評会という、手もみ茶の技術を競う最も権威ある大会で、8度もの日本一(農林水産大臣賞)に輝いています。
この並外れた実績に対し、全国手もみ茶振興会は、中島さんに最高位の称号である「永世茶聖」を日本で初めて授与しました。
これは、卓越した技術と長年の功績が認められた者だけが手にできる、まさに日本茶業界の頂点を極めた証です。
中島さんが生み出す手もみ茶は、なんと1kgあたり155万円という驚くべき値が付くことも。
それでも、その格別な味わいを求めて、1杯5,000円のお茶に人々が行列を作り、完売となるほどの熱狂を呼んでいます。
手もみ茶との運命的な出会い

創業250年の大西園の長男として生まれた中島さんは、実は高校時代まで教職を志していました。
しかし、高校卒業後、半ば強制的に静岡の国立茶業研究所へと送り込まれたことが、中島さんの人生を大きく変える転機となります。
最初は戸惑いもあったものの、2年間の寮生活で出会った仲間たちとの交流を通じて、次第に緑茶の奥深さに魅了されていきます。
そして、中島さんの心を完全に奪ったのが「手もみ茶」でした。
「こんなお茶があるのか、まさに衝撃的でした。手もみは緑茶の芸術です。これを作ってみたいという思いが、緑茶への道を決定づけてくれました」
この運命的な出会いを機に、家業を手伝いながら、手もみ茶をはじめとする緑茶の研究に没頭し、ついには日本一の座へと上り詰めたのです。
「誰にも真似できないお茶」を追い求める情熱

大西園の最大のこだわり、それは「他と同じものを作らない」という中島さんの強い信念にあります。
毎年、前年とは異なる製法や新しい品種に挑戦し、常に「より美味しいお茶」を追求し続けています。
「他のお店と同じものを作っても面白くない。
私は、常に誰にも真似できないお茶を作りたいと思っています。
自分らしく、魅力や人を引き付けるようなお茶作りを目指しております。」
この飽くなき探求心から、大西園では数々の革新的なお茶が生まれています。
例えば、新茶の時期に数量限定で販売されるオリジナル「天日干し 天照香茶」。
摘み取った茶葉を天日にさらすという、古来から伝わる製法を取り入れることで、お茶の香りと味わいを最大限に引き出しています。
また、埼玉県の品種を使った和紅茶の製造にも力を注いでおり、狭山茶の新たな魅力を発信しています。
人と人との「縁」を大切に

生産から加工、販売まで一貫して行う「6次化産業」の茶園が多い狭山は、人と人との結びつきが非常に深い産地です。
大西園も例外ではなく、「まさにお客様に育てていただいた産地」だと中島さんは語ります。
「これからもつながりを大切にしながら、美味しい狭山茶を作ることで皆様に恩返しをさせていただきたい。
そのためにも、昔からの伝統、製法をしっかりと学び、守り、あくまでもお茶作りの基本を大切に、日々のお茶作りに精進してゆく所存です」
中島さんにとって、一年を共に過ごすお茶はまさに家族のような存在。
そのお茶を通じて多くの人々と繋がり、この文化を次世代に伝えていきたいと願っています。
近年では、EU圏内への輸出も行い、海外の人々にも狭山茶の魅力を届けています。
また、数量限定のオリジナル茶や、秋から冬にかけての品種別のお茶、炭火入れ茶など、四季折々のこだわりのお茶を提供することで、お客様に常に新しい感動を提供し続けています。
日本の伝統を守りながらも、新たな挑戦を続ける大西園。
中島さんの情熱と哲学を、一杯のお茶を飲むことで、心ゆくまで堪能してみてはいかがでしょう。
【大西園について】
住所:埼玉県入間市根岸259
営業時間:10:00~18:00
定休日:水曜日(4~6月は営業)
公式HP :https://oonishien.jp/

