常滑を歩く ― 窯の町をめぐる産地散歩

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【常滑やきもの散歩】ノスタルジックな窯の町で、お気に入りの器を見つける旅

愛知県常滑市。ここは、日本六古窯のひとつに数えられ、千年以上の歴史を持つ常滑焼の産地です。
土管や焼酎甕、朱泥の急須など、暮らしに根差した多様なやきものが生まれてきました。


今回は、そんな焼き物の息吹を今も色濃く残す常滑のやきもの散歩道を、ゆっくりと歩きながら巡ります。

常滑焼散歩道は、かつての産業を支えた土管や陶器の塀、煙突などが残る、独特の景観を楽しめるコースです。
坂道を上り下りしながら、歴史ある風景と現代のやきものが融合した、魅力あふれる町並みを巡りましょう。

常滑焼の魅力と歩き方

焼き物の町らしい風景が広がります

常滑焼は、赤茶色の「朱泥(しゅでい)」に代表される、酸化鉄を多く含む陶土が特徴です。
釉薬をかけずに焼き締めることで、素朴で温かみのある風合いが生まれます。
特に、朱泥の急須は、お茶の渋みを吸着してまろやかな味にすると言われ、古くから愛されてきました。


やきもの散歩道には、歴史的な建造物や、個性豊かなギャラリー、カフェなどが点在しています。
効率よく見て回るなら、地図を片手に散策ルートをたどるのがおすすめです。

道中には、土管を積み重ねた「土管坂」や、古い窯の煙突、登り窯の跡など、常滑ならではの風景が随所に残されています。
今回の散歩では、個性豊かな4つのスポットを訪ねました。
それぞれのスポットで出会った方々との温かい交流は、常滑焼の新たな魅力を教えてくれました。

常滑で出会った四つのおすすめスポット

HOUSE OF 12 ― 空間が語るやきものの世界

まず訪れたのは、「HOUSE OF 12」さん。
ここは、常滑焼の作家たちの作品を集めたアートギャラリーです。

建築家が手掛けたモダンな建物は、軒が長く、空間が広々と感じられるユニークな設計。
その洗練された空間に、一点一点こだわって選ばれたうつわが美しく並べられています。

お店を切り盛りされているのは、温かい笑顔が印象的なお母さんと、凛とした佇まいの娘さん。
お二人の心地よい接客は、作品をより魅力的に見せてくれます。

ここでは、単にうつわを売るだけでなく、常滑焼の「今」を伝える場所として、作家と使い手をつなぐ大切な役割を担っています。建築とアート、そして人の温かさが一体となった、心に残るお店でした。

■公式HP:https://www.house-of-12.com/home

ともの世界 ― ご縁を紡ぐ光の作品


次に立ち寄ったのは、「ともの世界」さん。ここは、SNSなどのオンラインでの発信は行わず、人づてや、実際に足を運んだ人との出会いを大切にされているお店です。

店主であり、作陶家でもある上田さんは、とても気さくで話しやすい方。偶然にも、共通の知り合い(銀座ギャラリー門さん)がいたことで、とてもご縁を感じました。

光をテーマにしたシリーズの作品:私もカップを購入しました


上田さんの作品は、光をテーマにしたシリーズが特に印象的でした。
釉薬の掛け方や焼き方によって、光の当たり方で表情を変える作品は、まさに唯一無二。

一つひとつの作品に、上田さんの人柄や、ものづくりに対する真摯な姿勢が表れていました。
オンラインの時代に、あえてオフラインでのつながりを大切にするスタイルは、作品の持つ温かさと重なり、より深い魅力を感じさせてくれます。

■案内HP:https://tokonamesanpo.jp/member/member_118.html (やきもの散歩道HP)

窯変 ― 窯が作る奇跡の色彩

「窯変(ようへん)」も、やきもの散歩道で出会った魅力的なスポットのひとつです。
店名にもなっている「窯変」とは、窯の中での予期せぬ化学反応によって、器の色や模様が変化する現象のこと。そ
れは、職人の意図を超えた、窯が作り出す奇跡の色彩と言えます。

窯変の店内には、同じ器でも一点一点異なる表情を持つ作品が並び、その奥深さに惹きつけられます。
作り手は意図的に窯変を起こす工夫をしますが、完全にコントロールすることはできません。
だからこそ、一つとして同じものがない、特別な出会いが生まれるのです。

窯変の作品は、常滑焼の伝統的な技術と、偶然が生み出すアートが融合した、まさに一期一会のうつわでした。

■案内HP:https://tokoname-kankou.net/souvenir/detail/213/

一菁陶園 ― 伝統を継ぐ素朴な温かさ

最後に訪れたのは、「一菁陶園(いっせいとうえん)」。こちらも、親しみやすく、温かい雰囲気が漂うお店でした。店主の気さくな人柄に触れながら、並べられた作品をじっくりと見ることができます。


一菁陶園では、伝統的な常滑焼の技術を継承しながら、現代の暮らしに寄り添ったうつわを多く手掛けています。
特に、急須や湯呑みなどの茶器は、手になじむ温かみがあり、使うほどに愛着が湧いてきます。

シンプルでありながらも、細部にまで職人の丁寧な仕事が感じられる作品は、日々の食卓を豊かにしてくれます。
伝統を守りながらも、新しい感性を取り入れる、そんな常滑焼の今を垣間見ることができました。

■公式HP:https://isseitouen.wixsite.com/-site

歩いて感じる常滑の今

常滑のやきもの散歩道を歩くと、土管や煙突といった歴史の遺産と、現代の作家たちの新しい感性が、見事に共存していることを実感します。
今回出会った「HOUSE OF 12」「ともの世界」「窯変」「一菁陶園」は、それぞれ異なる個性と魅力を持つお店でした。

窯元ごとに異なる作風や人柄に触れることで、常滑焼の多面的な魅力を知ることができました。共通しているのは、常滑の土を愛し、やきものを通じて人とのつながりを大切にしていること。

散歩を終えて振り返ると、町全体がひとつの大きな窯のように思えてきます。次に常滑を訪れるときは、また別の窯元に立ち寄り、さらに深い物語に出会いたいと思います。

他にもあります!常滑のおすすめスポット

常滑には、今回紹介した以外にも素敵なスポットがたくさんあります。
お出かけの参考にお読みください!

廻船問屋 瀧田家

引用画像:公式HP

江戸時代から明治時代にかけて廻船業を営んでいた瀧田家。
1850年頃に建築された建物を復元・整備して公開しています。
貴重な無尽灯(菜種油を用いた灯火具)や和船の模型、海運の歴史などが分かるパネルが展示されています。

やきもの散歩道の土管坂から近いので、立ち寄りやすいですよ。

廻船問屋 瀧田家
住所:愛知県常滑市栄町4-75
営業時間:9:30~16:30
定休日:毎週水曜 年末年始
入館料:200円(20名以上の団体は150円)中学生以下は無料
URL:https://www.facebook.com/TAKITAKEtokoname/

INAXライブミュージアム

焼き物散歩道を抜けて歩くこと、20分程度にあるINAXライブミュージアム。
LIXILが運営する文化施設で、「窯のある広場・資料館」「世界のタイル博物館」「建築陶器のはじまり館」「土どろんこ館」「陶楽工房」「やきもの工房」の6館で構成されています。

陶磁器(特にタイル)の歴史や製作過程を学べ、ものづくり体験もできる国内でも珍しい陶磁器の複合施設です。


特に、私が気に入ったのは「世界のタイル博物館」。
国や時代によって異なる、さまざまなデザインのタイルを鑑賞できる場所はなかなかありません。
また、実際にタイルが使われている様子を再現したコーナーもあり、フォトスポットになっていました。

さらに、陶磁器の便器展示室では、絵付けの華やかな有田焼などの便器が展示!
この施設ならではの展示内容はどこも見ごたえありでした。

敷地はとにかく広く、ワークショップの種類も実に豊富です。
焼き物散歩道と一緒に訪れるなら、時間に余裕を持っていきましょう。

INAXライブミュージアム
住所:愛知県常滑市奥栄町1-130
開館時間 :10:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日: 水曜日(祝日の場合は開館)、年末年始
公式HP:https://livingculture.lixil.com/ilm/

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