宝寿窯・山本文雅さん:自然から生まれる「心和むうつわ」作りに励む
こんにちは。
今回は、宝寿窯の山本文雅についてお伝えします。
風光明媚な環境の中で作陶する山本さんの作品は他にはない、個性的なデザインが魅力。
その独創的なうつわが生まれる背景などについて、現地のギャラリーで伺ってきました。

黒髪山のふもとで生まれる器
佐賀県武雄市、古くから焼き物の産地として知られるこの地に、峻厳な姿でそびえる黒髪山(くろかみやま)。
その麓に佇むのが、陶芸家 山本文雅(やまもと ぶんが)さん宝寿窯(ほうじゅがま)です。
山本さんは、国内外の展示や受賞歴を重ねながら、自然豊かな土地で育まれた感性を背景に、独自の表現を追求し続けています。
その器の数々は、ただ美しいだけでなく、見る人、使う人の心に安らぎを与え、日常に特別な彩りをもたらしてくれます。
石や木など自然をそのまま写し取ったような作品は、アートピースのよう。
食卓で自然を感じる唯一無二の器は、ずっと眺めていたくなります。
つくりての歩み~型にはまらない創作の軌跡

山本さんは1963年、佐賀県伊万里市に生まれ、有田焼の窯元の家で育ちました。
当初は、家業を継ぐことには抵抗があったそう。
高校は、有田工業高校のデザイン科に進学し、将来はデザイナーの道を志していました。
ところが、実家の工房が火災に遭ったことをきっかけに、作陶の道へと進むことに。
その後、1980年代より作陶を始め、武雄市を拠点に活動。
ニューヨークやシドニーでの展示、国内外の受賞歴を経て、2000年に九州山口陶磁展に入選するなど、長年にわたり幅広い舞台で評価を得てきました。
武雄市は「似たものがないのが、武雄のいいところ」
山本さんは、作陶している武雄のことを
「唐津の様で、有田の様で、伊万里の様で、そのどれでもない。武雄の窯元はバラバラで多種多様。
だから楽しいんだと思います。」とおっしゃっています。
——多彩な作風をもつ産地の空気を吸いながら、山本さん自身もまた、型にはまらない自由な創作を続けています。
器に宿る自然の表情

山本さんの作品を手にすると、どれも「自然の景色のかけら」を持っているように感じます。
赤と黒の釉薬が溶岩のように流れ込む器は、噴き上がる大地の力を思わせ、
木目のような模様を宿した器は、森の静けさを映すよう。
ざらりとした質感のぐい呑みには、岩肌の冷たささえ感じられます。
その一つひとつは、計算されたデザインというよりも、自然と人のあいだに生まれた偶然の産物。
「創りたいものを、創りたいときに。魂がそう言うときに。」
その言葉のとおり、山本さんは自然に委ね、魂のままに土をかたちにしています。

山本さんの作品シリーズの一部を紹介します。
- Magma Series
赤や黒の釉薬が溶岩のように流れ込む迫力ある表情が特徴。
実際に、土の塊をトーチで炙ってから叩き潰すという独特な手法で成形され、釉薬の流れがまるで本物のマグマを思わせるような力強さを生み出しています。 - CeraWood Series
木目をモチーフに、流れ込む線が温かさを感じさせる器です。
流木から型を取るという斬新な発想から生まれたそう。
木製に見えますが、焼き物なので匂い移り・シミもないのがいいですね。 - Rock Series
岩肌を思わせる質感が特徴。
ろくろは使わず、土の塊を1つ1つ、くり抜いて薄く削って作っています。
そのため1日に10個くらいしか作れないそう。
とても手の込んだ器は、ひとつとして同じものがない個性的な仕上がりが魅力です。

これらの作品は、土の塊が乾いてひび割れていく様子や、流木の木目など、自然界にあるありのままの姿からインスピレーションを得て、それを器に落とし込むという山本さんの独自のアプローチが感じられます。
創作の理念 ― 「魂がそう言うときに」

山本さんが大切にしている言葉は、
「創りたいものを 創りたいときに 魂がそう言うときに創る」。
自然が生み出す偶然の模様、人がつくりだす必然のデザイン。
その交わりを日常の器に取り入れ、暮らしの中で「ふと手に取ったときに心が和むもの」を形にしています。
また、山本さんの作品は、食器だけにとどまりません。
植木鉢やDIY用の陶器表札キットなど、日々の暮らしを豊かにする多様なプロダクトを積極的に展開しています。
これらは、植物の成長を促す陶器の特性をいかしたものや、焼き物ならではの耐久性をいかしており、使い手の暮らしに寄り添う温かい想いが伝わります。
ご縁を広げる活動~イベント出展でうつわの魅力を伝える

宝寿窯は、全国各地の展示会やフェスティバルに積極的に参加。
「全国やきものフェア」「東京ドーム テーブルウェアフェスティバル」など、多くの場で作品を紹介し、訪れる人とのご縁を大切にしています。
器を通して語りかけるのは、形や色だけでなく、「自然とともに生きる心」や「手仕事の温もり」。
山本さんの器を手にすると、その独特の質感や力強い造形に驚き、自然と笑顔がこぼれます。
それは、器づくりの背景にある物語だけでなく、山本さんのおおらかで温かい人柄が伝わってくるからかもしれません。
土と釉薬に宿る物語
黒髪山の自然に抱かれ、土と釉薬の表情を写し取る陶芸家・山本文雅さん。
その作品には、人柄のあたたかさと自然への敬意が同時に宿っています。
器を手にしたとき、ただ「美しい」と感じるだけでなく、どこか心が落ち着く。
それは、山本さんが「魂がそう言うときに」生み出した作品が持つ、強い想いが器を通して伝わってくるからかもしれません。
皆さんも、山本さんのうつわにぜひ触れてみてください。
独創的でアートのように見えますが、手に取ると実用的で、その使いやすさに感動します。
自然をモチーフにしているので、テーブルのアクセントになりつつ、毎日の食事風景になじみます。
気になる方は、イベント出展などをチェックして実物を見にいきましょう!
山本 文雅(やまもと・ぶんが)さんのこと
■略歴
1963年 佐賀県伊万里市生まれ
1980年 佐賀県展入選
1981年 佐賀県立有田工業高等学校 デザイン科卒業
1989年 サージマリジス賞 受賞
1990年 ニューヨークジャパン大賞 受賞
1990年 ニューヨークT&N GALLERY 出品
1990年 ニューヨークGALLERYモリーナ 招待出品
1991年 国際芸術ニューヨーク展国際芸術大賞 受賞
1991年 ART SPEAK賞 受賞
1993年 年数回 毎年各地で個展を始める
2000年 九州山口陶磁展 入選
公式HP:https://houjugama.jp/

