北村満宏さん ― デザインの力で民俗芸能「大村獅子舞」を盛り上げる

今回紹介するのは、長崎県大村市出身のグラフィックデザイナー、北村満宏(きたむら みつひろ)さん。
北村さんは、長年デザインの世界で活躍してきたプロフェッショナルとして知られる一方、近年では故郷に根差したある「物語」の主人公としても注目を集めています。
私たちはプロジェクトのロゴ制作をきっかけに北村さんと出会い、彼のクリエイティブな仕事ぶりに触れる中で、その活動の奥にある民俗芸能への熱い想いを知ることになりました。
都会での華やかなキャリアから一転、地元大村に戻り、伝統文化の継承に力を注ぐ彼の生き方は、私たちに「仕事」と「人生」のつながりについて深く考えさせてくれます。
この記事では、北村さんがなぜ大村獅子舞に関わることになったのか、デザイナーの仕事を民俗芸能の盛り上げにどう活かしているのかなどについて詳しくお伝えします。
デザインの道からUターンへ

北村さんは、大村市で生まれ育ち、高校卒業後にデザインの道へ進みます。
地元での経験を経て、20代で上京。
以降、東京のデザイン会社に勤務。
ファッションビルや商業施設などのプロジェクトに携わり、洗練されたデザインワークを数多く手掛けてきました。
そして、39歳で独立。
しかし、キャリアを積んでいく一方で、北村さんの心の中には常に「いつか地元に戻りたい」という故郷への想いがありました。
ご両親のこと、そして幼い頃から慣れ親しんだ大村の景色や人々とのつながりが、彼の心を揺り動かします。
そして、キャリアの節目を迎えUターンを決意。故郷で新たな人生の扉を開くことを選びました。
故郷で失われかけた「大村獅子舞」に再会
大村に戻った北村さんが再会したのは、子どもの頃から親しんできた「大村獅子舞」でした。
140年以上の歴史を持つこの民俗芸能は、その勇壮な舞と音色で大村の祭りを彩り、地域の人々にとってなくてはならない存在です。
しかし、メンバーの高齢化や担い手不足により、存続が危ぶまれる状況に陥っていました。
この現実を目の当たりにした北村さんは、「誰もやらなければ、なくなってしまう」という強い危機感を抱きます。
そして、かつて自身も舞い手として参加していた獅子舞を、今度は「守る側」として支えたいと決意。

デザインの専門家である北村さんは、デザインの力を活用した活動をスタートします。
獅子舞のフライヤーを自ら制作し、その魅力を視覚的にわかりやすく発信。
フライヤーやSNSで、若い世代や地域外の人々にも獅子舞の存在を知ってもらい、興味を持ってもらうきっかけを作りました。伝統を守ることは、古くからあるものを維持することだけではありません。
その魅力を現代の感性に合わせて伝え、新しいファンやメンバーを増やし楽しむことが100年先に繋がっていくのだと、北村さんの活動は教えてくれます。
デザインと地域をつなぐ架け橋

祭りやイベントのポスター、ロゴ、グッズなど、北村さんが手掛けるビジュアルは、洗練されていながらも、どこか温かみがあり、大村の持つ「らしさ」を大切にしています。
彼のデザインは、単なる情報の伝達ツールではなく、地域の人々の心を一つにする「架け橋」として機能しています。


この地域活動を通じて培った人とのつながりは、北村さん自身のデザインの仕事にも好影響を与えています。
新しいプロジェクトが始まるときや、商店の販促に関する相談など地元の方からお声が掛かるそう。
民俗芸能という共通の土台を持つことで、デザインの依頼は単なる取引ではなく、地域を盛り上げる共同作業となっていくのです。
私たちがロゴ制作をお願いした縁も、この物語の延長線上にあります。
東京でデザインの道を究めたプロフェッショナルが、故郷に戻り、大村獅子舞という伝統文化に新しい息吹を吹き込む。
そして、その活動を通じて生まれた「人と人を結ぶご縁」が、私たちと北村さんをつないでくれました。
この繋がりは、これからも新しい物語を生み出していくことでしょう。
大村の「らしさ」を全国へ

「大村を全国に知ってもらいたい。でも都会の真似ではなく、大村らしい姿を大事にしたい」。
これは、北村さんが私たちに語ってくれた言葉です。
その言葉には、デザイナーとして培ってきた美意識と、故郷を愛する一人の人間としての誇りが深く重なり合っています。
デザインを通じて地域の課題を解決し、伝統文化の価値を再発見する。
北村満宏さんは、都市と地方、伝統と革新、そして人と人とをつなぐ、稀有な存在です。
彼の活動は、これからの時代の新しい働き方、生き方の一つのモデルを示しているのかもしれません。
あなたの周りにも、地域の魅力を再発見し、新しい価値を創造している人はいませんか?
このような活動に目を向けることで、私たち自身の暮らしや仕事に、新しいヒントが見つかるかもしれません。

北村さんの活動についてはこちらもご覧下さい!
Note:https://note.com/kitengd

