【小石原焼・カネハ窯】三代目・熊谷祐介が追求する、作り手と使い手をつなぐ器

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小石原焼「カネハ窯」三代目 熊谷祐介が追求する「作り手」と「使い手」の理想郷:
350年の伝統と自然の恵みが息づく器 

福岡県東峰村(小石原地区)。
英彦山方面の山々に囲まれたこの地は、四季折々の自然の恵みに満ちています。

この豊かな自然の中で、約350年の歴史を持つ国指定伝統的工芸品、小石原焼の窯の火を守り続けているのがカネハ窯
そして、その三代目として、伝統と革新を融合させた作陶を続けるのが、陶芸家・熊谷祐介氏です。

伝統を背負い、現代の「作りたいもの」に向き合う

引用画像:公式HP

熊谷氏は、1972年にカネハ窯の三代目として誕生。
大学でデザインを学んだ後、1996年から本格的に作陶の道を歩み始めました。
2019年には国指定伝統工芸士に認定されるなど、その高い技術と功績は数々の受賞歴が証明しています。

しかし、熊谷氏の作陶の原点は、技術の追求だけではありません。

「子供の頃の粘土遊びの楽しさを想い出しながら、一つ一つ心をこめて…」

引用画像:公式HP

この言葉に集約されるように、彼は土に向かい、ロクロを回す中で、自分の体と感覚で「いま作りたいもの」を確かめています。
それは、初代・範造がほかに先駆けて手がけた「色物」の器、二代目・泰生が好んだ三尺の大皿や水瓶などの「大物づくり」とは異なる、三代目ならではの視点です。

熊谷氏が意識するのは、化粧土を利用した色の組み合わせを楽しむ食器づくりや、手びねりによる花器の制作。
伝統的な小石原焼の技法を守りつつも、現代の食卓や暮らしになじむ、色彩豊かな器を追求しています。

「半農半陶」の生活が育む、素材への真摯な姿勢

引用画像:公式HP

カネハ窯が他の小石原焼の窯元と一線を画す特徴の一つに、「半農半陶」という独自のライフスタイルがあります。
一年の間で、作陶とお米づくりをバランスよく行うこの生活は、熊谷氏の器づくりに大きな影響を与えています。

お米づくりは、まさに自然との対話。
一年に一度の収穫に向け、天候や土壌の影響を肌で感じ、緊張感を持って取り組む中で、「自然への感謝」を忘れることはありません。

この「自然との共生」という精神は、熊谷氏の「土選び」への強烈なこだわりとなって現れます。

引用画像:公式HP

「小石原焼の大きな特徴は、原材料となる土を小石原で採取していること。
しかし、土にも良い土と悪い土があり、粘りが強い・締まりが強い・コシがあるなど様々な観点で精査しています」

陶土も釉薬も、全てはこの小石原の土から成り立っている。
だからこそ、彼はその素材の持つ力を最大限に引き出すために、徹底的に土を選び抜きます。
「半農半陶」で培われた素材への真摯な姿勢が、熊谷氏の器の深みと温かさを形作っているのです。

「付加価値」としてのコミュニケーション:ファンを育む場

引用画像:公式HP

熊谷氏は、初代、二代目の「大型作品が売れる」という時代から、現代では技術だけでなく、「付加価値」が必要だと強く感じています。
その付加価値とは、お客さんとの丁寧なコミュニケーションに他なりません。

とうのも、彼にとって、器は「触れる人・見る人を楽しませてくれ、使うほどに愛着と話の和が広がってくれる」ものでなくてはならないからです。

この考えに基づき、カネハ窯では陶芸体験を活発に行っています。
家族経営の工房にとって、陶芸体験はコストパフォーマンスが良いとは言えません。
しかし、お客様が楽しんで小石原焼を深く知り、「濃いファンになってくださる」ことに大きな喜びを感じています。

さらに、このコミュニケーションはオーダーメイドにも活かされています。

「一個のお茶碗から大量の平皿まで幅広く受け付けています」

陶芸体験の作品:公式Instagramより

見本の器を参考に、形・サイズ・紋様について丁寧に話し合い、世界に一つだけの“自分だけのうつわ”を作る体験は、特別なギフトとしても喜ばれています。
技術だけでなく、人との繋がりを大切にする熊谷氏の姿勢が、カネハ窯を単なる窯元ではなく、ファンが集う温かな場所へと変えているのです。

器と「作り手自身」のファンづくりへ

福岡の山奥、自然との共生の中で器を作り続ける熊谷氏が目指すのは、「100均のうつわには無い付加価値を伝えること」。
作品の良さはもちろんのこと、自身の制作への思い、自然との関わり方、「半農半陶」というライフスタイルを含めた「自分自身のファン作り」に注力しています。

今後は、InstagramなどのSNSも積極的に活用し、オフラインだけでなくオンラインでも人との繋がりを増やしていく予定です。
伝統に安住することなく、常に新しい探求心を忘れず、人と自然と対話しながら器を作り続ける三代目・熊谷祐介氏の挑戦は、これからも小石原焼の未来を豊かに彩っていくでしょう。

カネハ窯の器を使ったハロウィンのコーディネート:テーブルライフHPより

カネハ窯の器の魅力は、小石原焼ならではの伝統技法を守りつつ、素朴な味わいがありながらモダン。
今の暮らしにも違和感なくなじむこと。
むしろ新しさも感じてしまうほど魅力的なデザインと、手ざわりの良さです。

ぜひ、皆さんもカネハ窯の器を使ってみて下さい。
手持ちの器とも違和感なく組み合わせることができ、食卓のアクセントになりますよ。

引用画像:公式HP

カネハ窯について
熊谷裕介さん経歴
1972年 カネハ窯三代目として誕生
1996年 九州産業大学芸術学部デザイン学科卒業
    カネハ窯で作陶を始める
■主な受賞歴
2004年 第21回小石原焼伝統的工芸展 福岡県知事賞受賞
2006年 第30回福岡県伝統的工芸品展 福岡県知事賞受賞
2009年 第33回福岡県伝統的工芸品展 商工連合会会長賞受賞
2013年 福岡県より 激励賞 受賞  
2019年 国指定伝統工芸士認定

公式HP:https://kanehagama.jp/
所在地:福岡県朝倉郡朝倉郡東峰村小石原113
電話番号:0946-74-2203
営業時間:10:00〜17:00
定休日:不定休。事前にお電話いただけると確実

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