「益子陶器市 at 恵比寿ガーデンプレイス」レポート:都心にいながら益子を満喫

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「益子陶器市 at 恵比寿ガーデンプレイス」恵比寿に益子陶器市が出現!都会の真ん中で手仕事に出会う

先日、9月20日と21日に恵比寿ガーデンプレイスの中庭で、特別なイベントが開催されました。
日本を代表する焼き物の里、栃木県益子町から、選りすぐりの陶芸家たちが作品を携え、都心へとやってきたのです。



遠方ゆえに足を運ぶことが難しい人も多いでしょう。
この日、恵比寿の街は益子の風に包まれ、多くの人々がその温かさに触れることができました。

私が訪れた20日はあいにくの雨でしたが、会場にはそんな天候をものともしない、熱気あふれる賑わいがありました。
色とりどりのテントが並ぶ中庭は、傘を差した人々で埋め尽くされ、手仕事のぬくもりを求める人々の熱意がひしひしと伝わってきます。

この記事では、東京で初めて開催された「益子陶器市at 恵比寿ガーデンプレイス」について、スタッフのレポートをお届けします。

益子陶器市 at 恵比寿ガーデンプレイスについて

東京で初めて開催される益子陶器市。
このイベントのきっかけは、恵比寿ガーデンプレイスに本社を置くサッポロホールディングスの幹部が陶器市のファンだったこと。2年前に開催の打診をし、ようやく実現に至ったそうです。

【益子陶器市 at 恵比寿ガーデンプレイス概要】
日 程:2025年9月20日(土)11:00〜17:00、21日(日)11:00〜16:00
会 場:恵比寿ガーデンプレイス(東京都渋谷区恵比寿4-20) センター広場、時計広場
入 場:無 料
出店数:60以上の陶芸家・窯元が参加

土の温もりと、多様な個性の共演

組合展示スペースでは、出展者の情報が1箇所で分かります

会場に一歩足を踏み入れると、益子の作家さんたちが丹精込めて作り上げた、さまざまな作品が目に飛び込んできます。
一つひとつの器が持つ独特な表情は、手仕事のぬくもりを感じさせてくれます。

心がなごむ、やさしい色合いのうつわ

まず目を引いたのは、心をほっと和ませてくれるような、淡い色合いの作品たちです。
パステルカラーの釉薬が施されたカップや、ぽってりとしたフォルムの小鉢は、見ているだけでも幸せな気持ちになります。

手に取るとその柔らかな感触は、手作りならではの優しさです。
慌ただしい日常から離れ、お茶を一杯、ゆっくりと味わう時間を与えてくれます。
これらのうつわは、食卓に並べるだけで、ふだんの食事が特別なひとときに変わるような力を持っています。

以下、実際にお話を伺った作家さんのブースを紹介します!

心を奪う「スリップウェア」、塩幡桃子さんの作品

そんな個性豊かな作品の中でも、特に多くの来場者の心を捉えていたのが、塩幡桃子さんの作品です。

午後にはほとんどの作品がなくなってしまうほどの人気ぶりで、その作品の美しさがどれほど多くの人を魅了したかが分かります。

塩幡さんの作品は、化粧土で描かれた美しいスリップ模様が特徴です。
深い飴色や素朴な土の色を基調とした器に、流れるような曲線や、規則正しいストライプが描かれています。
これらの模様は、土と釉薬が織りなす偶然の美しさと、確かな技術に裏打ちされた作家の意図が融合して生まれたものです。

手作業で描かれたスリップ模様は、同じものが二つとなく、一つひとつ異なる表情を見せてくれます。
料理を盛り付ければ、その模様が食卓に彩りとリズムを与え、いつもの食事がぐっと楽しくなることでしょう。

■塩幡桃子さん Instagram:https://www.instagram.com/momoko.shiohata/

心癒されるグラデーション、坂本り菜さんの作品

塩幡さんの作品と同じく、多くのファンを魅了していたのが、坂本り菜さんの作品です。

パステルカラーの美しいグラデーションが特徴。
淡いグレーから柔らかな水色、温かみのあるベージュなど、心癒される色合いが器全体に広がっています。

その見た目の美しさだけでなく、手触りも特徴的です。
さらっとした質感の釉薬が施されており、手に取った時に優しい感触が伝わってきます。
ぽってりとしたフォルムのマグカップは、日常使いにぴったり。忙しい朝の一杯や、午後のティータイムに、そっと心を癒してくれるでしょう。

すでに多くの作品が売れてしまっており、その人気の高さがうかがえました。

■坂本り菜さん Instagram:https://www.instagram.com/rina_sakamoto_/

洗練された造形美、戸次はるなさんの作品

会場で多くの人の視線を集めていたのが、戸次はるなさんのブースです。

益子焼本来の素朴な白をベースに、内側に施された深い青の配色が、洗練された印象を与えます。
内と外で異なる色がコントラストを生み出し、見る角度によって表情を変えるのが魅力的です。

思わず手に取ってみたくなるような、丸みを帯びたやわらかなフォルムは、暮らしに溶け込むさりげない存在感を放ちます。普段使いの器としてはもちろん、インテリアとして飾っても美しく、空間をぐっと引き締めてくれるでしょう。

■戸次はるなさん Instagram:https://www.instagram.com/bekki_haruna/

益子の伝統が息づく「暮らしの品 つかもと」

今回の陶器市では、うつわだけでなく、益子の伝統と日々の暮らしが融合した品々を扱うお店も出展していました。
100年近くにわたり、益子で愛されてきた金物店が2024年に新たに生まれ変わった「暮らしの品 つかもと」です。

会場には、素朴な陶器だけでなく、竹で編まれたかごやざる、木製の箸やカトラリーといった、手仕事のぬくもりが感じられる品々が並んでいました。
これらの品々は、時を経ても色褪せない確かな品質と、作り手の想いが込められた特別な「何か」を持っています。

日々の忙しさに流され、大切なことを見失いそうになった時。
これらの品々は、ほんの少し立ち止まって自分と向き合う時間を与えてくれます。
ゆっくりと流れる時間の中で、本当に必要なもの、心を満たしてくれるものを見つけること。
それはきっと、自分らしさを彩る、新しい暮らしの始まりになるはずです。

■つかもと公式HP:https://tsukamoto.net/

作家さんとの会話で陶器市の醍醐味を体感

陶器市の大きな魅力は、作品の背景にある物語を、作家さん本人から直接聞けることです。
「この釉薬は、地元の土を独自にブレンドしているんですよ」「この形は、手に馴染むように何度も試作を重ねて作ったんです」。

そんな会話を交わすことで、一つひとつの器が、単なる「物」ではなく、作り手の想いや情熱が込められた、唯一無二の存在に感じられます。

お茶をテーマにしたブースでは、作家さんが自ら淹れたお茶を、その場で試飲させてくれる場面も見られました。
手作りの器で味わう一杯は、格別の美味しさです。

益子陶器市で実感する、暮らしの豊かさ

今回のイベントは、益子焼の多様な魅力を知るだけでなく、私たちの暮らしを豊かにするヒントを与えてくれました。

大量生産された製品が溢れる現代だからこそ、手仕事のぬくもりを持つ器は、私たちの心に安らぎと喜びを与えてくれます。お気に入りの一枚を見つけ、それに合う料理を考え、誰かと食卓を囲む。
そうした小さな営みの中にこそ、本当の豊かさがあることを、改めて感じさせてくれました。

遠い益子に行かなくても、恵比寿の街でその温かさに触れられたこと。
そして、雨にもかかわらず多くの人々が器との新しい出会いを喜んでいる姿は、日本の焼き物文化が今も多くの人々に愛されている証拠です。

次回の開催は未定ですが、またの開催が待たれます。
11月の秋の陶器市の下見も兼ねて楽しむことができ、充実した休日を過ごすことができました。

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