「料理したくなる器」を求めて – 瀬戸焼 三峰園窯が紡ぐ、六代の想いと日常の美
愛知県瀬戸市。
千年の歴史を持つ焼き物の里として知られるこの地に、伝統的な窯元が軒を連ねる赤津地区があります。

豊かな山に囲まれ、良質な陶土に恵まれたこの地で、六代にわたり瀬戸焼の伝統を守り続ける窯元、それが三峰園窯です。
六代目園主を務めるのは、加藤達伸さん。
彼は、「日々の食事に楽しさを添えられるような器を」という想いを胸に、すべての作品を一つひとつ手づくりしています。
三峰園窯の器は、単なる食器ではありません。
それは、日々の食卓を彩り、暮らしに小さな喜びをもたらしてくれる、温かい存在なのです。
伝統の継承と、現代への問いかけ

三峰園窯は、伝統的な織部や黄瀬戸といった釉薬をベースに作陶しています。
織部釉の深く温かみのある緑、黄瀬戸釉の奥ゆかしい黄金色。
これらは、瀬戸焼の長い歴史の中で培われてきた、まさに日本の美意識を象徴する色合いです。
しかし、加藤さんは伝統を守るだけでなく、現代の暮らしに寄り添う新しい器づくりにも挑戦しています。
伝統的な色合いに加え、現代の食卓に馴染みやすい白や黒のモノトーンのシリーズも手掛けています。

これにより、和食はもちろんのこと、パスタやサラダといった洋食にも合わせやすく、シーンを選ばずコーディネートできる器が生まれています。
「和食器のあたたかさや優しさはそのままに、和にも洋にも馴染むサイズや柄が特徴です」と加藤さんは語ります。
この柔軟な発想は、瀬戸焼の新しい可能性を広げ、若い世代にもその魅力を伝えています。
「料理したくなる器」の哲学

加藤さんの器づくりには、明確な哲学があります。それは、「料理したくなる器」であること。
1.丈夫で使い勝手の良い器
「食器棚から出して、最後に洗ってしまうところまでを意識したものづくりをしています」という言葉に、加藤さんの実用性へのこだわりが詰まっています。
瀬戸の優れた陶土を使うことで、欠けにくい丈夫な器に仕上がり、毎日の使用に耐える耐久性を備えています。
2.豊かな表情を生み出す質感
料理との相性を決める色や艶、そして質感。
加藤さんは、この三つを非常に大切にしています。

器の表面には、どんぐりの笠から取った栃渋を使った独自の仕上げによる、繊細な貫入(かんにゅう)が施されています。
この細かいヒビ模様が、料理と馴染みの良い風合いを生み出し、使い込むほどに味わいを増していきます。
3.料理を引き立てる色と形

「今日は何盛ろう?」と、毎日使うのが楽しみになるような器。
それが、加藤さんが目指す理想です。
家族構成やよく作る料理は人それぞれですが、三峰園窯の器は、どんな料理にも合わせやすく、使いまわしが利くように、各デザイン・各サイズが取り揃えられています。
探求心と情熱が築いた信頼

加藤さんの技術と感性は、数々の公募展で高く評価されています。
豊田市美術展での「(財)高橋記念美術文化振興財団賞」や、日展への入選など、その実績は確かなものです。
さらに、フランス・リモージュ市でのロクロ実演や、韓国でのワークショップ招待など、国際的にも活躍の場を広げています。
NHK BSプレミアムの「イッピン」へのテレビ出演。
名古屋タカシマヤや伊勢丹、高島屋といった百貨店での展示会にも参加するなど、多くの人々が加藤さんの作品に触れる機会が増えています。
こうした活動は、彼の陶芸家としての探求心と、より多くの人々に瀬戸焼の魅力を伝えたいという強い情熱に支えられています。
三峰園窯の器は、伝統的な瀬戸焼の技法と、現代のライフスタイルが融合した、まさに「今」を生きる私たちのための器といえそうです。
瀬戸の街中を抜け、静かな赤津地区にたどり着くと、加藤さんの温かい人柄と、作品に込められた深い想いを感じることができます。
日々の食事の時間を、もっと楽しく、もっと豊かにしてくれる三峰園窯の器。食卓に並べるたびに、「今日は何盛ろう?」と、ワクワクした気持ちにさせてくれる、そんな特別な一枚を探しに、三峰園窯を訪れてみてはいかがでしょうか。
【三峰園窯・6代加藤達伸さんについて】
1998年 秋田大学鉱山学部物質工学科卒
1999年 愛知県窯業高等技術専門校 修了
加藤 釥に師事
2008年より 三峰園窯 6代目
■公募展など
瀬戸市美術展 市議会議長賞
一宮市美術展 美術展賞
一宮市美術展 市長賞
豊田市美術展 (財)高橋記念美術文化振興財団賞
第36回日展 入選
愛知県文連美術展 入選
所在地:愛知県瀬戸市窯元町123 *お越しの際はお問い合わせフォームより連絡をお願いします
公式HP(お問い合わせフォーム):https://www.sanpouen-kama.com/

