yoshida potteryが追求する、用の美と心の豊かさ-「うつくし器」の哲学とは

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「用の美」の哲学を体現した「うつくし器 -utsukushiki-」誕生の魅力に迫る

今回は、yoshida potteryとして活動する陶芸家・吉田正和さんについて。
アンティークのようにも見える、エレガントなたたずまいとシンプルな色使いは、日常生活に溶け込みつつも存在感があります。

その魅力ある器を生み出し続ける、製作のこだわりなどについてお話を伺いました。

引用画像:公式HP

陶芸家、吉田正和さんが手がけるyoshida potteryさんの器には、見る人の心を惹きつける特別な魅力があります。
その美しさを、吉田さんは「うつくし器 -utsukushiki-」と名付けました。

それは、ただ美しいだけではなく、使うほどに愛着が湧き、日々の暮らしに寄り添い、使う人の心を豊かにしてくれる、そんな器なのです。

吉田さんは、約13年間、歴史ある宇治の茶陶 「朝日焼」で修行、茶の湯を通して培われた美意識を形にし、「用の美」という哲学を追求しています。

「用の美」とは、民藝運動の創始者である柳宗悦が提唱したこの言葉で、道具としての機能性を持ちながら、飾らない美しさを併せ持つことを意味します。
yoshida potteryさんの器は、まさにこの哲学を体現しています。

五感で感じる、器に込められたこだわり

吉田さんの器は、視覚だけでなく、触覚、そして使う人の心に深く語りかけます。
その作品には、細部にまで計算された、作り手の深い想いが込められています。

引用画像:公式Instagram

FEEL(触覚)
yoshida potteryさんの器は、その「すべすべ感」が特徴です。
釉薬というガラスの膜で覆われた表面は、手に触れたときに心地よい感覚を与え、口に触れることでその滑らかさをさらに実感できます。
この「気持ちいいうつわ」は、使うたびに私たちを優しい気持ちにさせてくれます。

WEIGHT(重さ)
多くの人が「器は軽い方がいい」と思うかもしれません。
確かに軽さは手の負担を軽減しますが、強度が弱くなったり、熱を放出しやすくなったりします。吉田さんは、あえてこの常識に疑問を呈します。

「軽さ一辺倒に、あえて疑問を呈します。人は経験から見た目から重さを想像します。そこがポイント。その感覚より僅かだけ軽くを狙い、本質はその範囲内でできるだけ重く。それが私の狙いです」

器の重さは、ものを大切に扱う心に繋がると、吉田さんは考えます。
手に取ったときに感じる、見た目よりもわずかに軽い感覚。
そして、その重みが、一つの器を大切に扱うきっかけになることを願っているのです。

USEFUL(使いやすさ)
日常の食卓に頻繁に登場する器であるためには、「使いやすさ」は不可欠です。
yoshida potteryさんの器は、何を盛り付けても料理が映え、美味しく見えます。
さらに、食洗機や電子レンジの使用も可能で、現代のライフスタイルに寄り添った「当たり前」の機能性を備えています。

GROWING(成長)
yoshida potteryさんの器は、使うことで育ちます。
それは、器の表面にある「貫入(かんにゅう)」という細かなヒビが、使うたびに様々な表情を見せてくれるからです。
これは、土と釉薬の収縮率の差によって生じる模様であり、古代中国の青磁などでも尊ばれてきた景色です。

コーヒーや紅茶、日本茶を注ぐことで、貫入に色が染み込み、独特の模様が生まれます。
ナスのようにつよい発色の野菜を盛れば、紫に変化することもあります。
真っ白な器を好む人には向かないかもしれませんが、この「うつわを育てる」という感覚は、使う人に新たな楽しみと愛着を与えてくれます。

「単色」が放つ、無限の美

吉田さんの作品は、シンプルな色合いが特徴です。

monochrome works(白と黒)
まず最初に生み出されたのは、白と黒のモノクロームな器たちです。余計なものを排除し、自分の手が作りたがる形を最優先に追求した結果、この二色が選ばれました。シンプルだからこそ、器のフォルムや質感の美しさが際立ちます。

shabby chic works(さびいろ)

引用画像:公式HP

次に生み出されたのは、「さびいろ」。
載せるものを引き立てることに徹した、静かで奥深い色です。

「さびいろうぐいす(緑)」「さびいろこはく(茶)」「さびいろすす(黒鉄)」の三色は、日本の伝統的な美意識とモダンな感性が融合した、独特の風合いを醸し出しています。

安全性への揺るぎないこだわり

引用画像:公式Instagram

安全かどうか」は、吉田さんが作り手として最もゆずれない点です。

古来、発色を良くするために鉛などが使われてきた陶器ですが、yoshida potteryさんは安全性を徹底的に追求。
専門機関に調査を依頼し、鉛とカドミウムが酸味のある食べ物を入れた場合に溶け出すことがないか、厳密な検査を受けました。
2021年6月1日には、「Not detected(検出されず)」の証明を取得しており、安心して使えることが証明されています。

活動拠点を新天地、山口県長門市へ

引用画像:公式HP

令和7年9月末日をもって、6年間活動してきた兵庫県芦屋市の旧アトリエから、山口県長門市へ移転することとなりました。本州の西の端に位置し、日本海の美しい海に囲まれた長門市は、米CNNが「日本の最も美しい場所31選」に選んだ元乃隅神社や、絶景で知られる角島大橋からもほど近い場所です。

吉田さんは、この移転を「さらなる飛躍のタイミング」と捉え、より一層の精進を誓っています。
美しい自然に囲まれた新天地で、吉田さんがどのような新しい作品を生み出していくのか、期待が膨らみます。

yoshida pottery・吉田正和さんについて
京都府出身。
2006年より朝日焼に従事し、十五世松林豊斎に師事。
2019年、兵庫県芦屋市の旧芦屋市営宮塚町住宅(国の登録有形文化財に登録)にて陶芸家として独立。
yoshida pottery(ヨシダポタリ)を立ち上げる。
2025年10月より活動拠点を山口県長門市に移す
公式HP:https://www.yoshidapottery.com/

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