備前焼の世界に新たな風を吹き込む
陶芸家・高木純氏に聞く、伝統と革新の融合
こんにちは。
今回は、神奈川県横浜市出身の備前焼作家、高木純氏について。

高木さんは、伝統的な備前焼の世界に新たな風を吹き込み、若い世代からも注目を集めています。
その独特の作風は、どのようにして生まれたのでしょうか。
京都で陶芸を学び、備前の地で独自の作陶を続ける高木さん。
陶芸家としての歩みや作品作りに込められた想い、そして未来への展望について、お話を伺いました。
陶芸との出会い、そして備前への道

高木氏は2006年に京都伝統工芸専門学校で陶芸を学び、卒業後、伝統工芸士の猪俣政昭氏のもとで修行を始めます。
猪俣氏のもとで過ごした日々は、作陶の基礎を築く上でかけがえのない時間となりました。
土の練り方、成形の技術、そして何よりも土と対話することの大切さを学んだそう。
その後、備前の地で修行を積み、2013年に自身の窯を購入し作家活動を始めました。
高木氏が備前焼の世界に足を踏み入れたのは、釉薬を使わずに土そのものの力強さを表現できる点に魅せられたから。
備前焼は、日本六古窯の一つに数えられ、釉薬を使わずに土そのものの力強さ、素朴な美しさを表現する焼き物です。
高木氏の心をとらえたのは、まさにこの「土の力強さ」でした。
釉薬をかけることで生まれる華やかさとは対照的に、土が持つ本来の色合いや、窯の中で炎が作り出す偶然の模様「窯変(ようへん)」が、唯一無二の表情を生み出すことに魅了されたのです。
「かわいい備前焼」の誕生、革新的な技法への挑戦

一般的にイメージされる重厚な備前焼とは異なり、高木氏の作品は「かわいい」と評される、丸みを帯びたフォルムと滑らかな手触りが特徴です。
この独自の作風は、昔ながらの登り窯ではなく、自宅兼工房に設置された電気窯を用いて生み出されます。
高木氏は、備前焼の持つ表情豊かな窯変を、電気窯という現代的な環境の中で引き出すため、電気窯の中に炭を入れて一緒に焼成するという難しい技法に挑戦しています。
この技法は、電気窯の安定した熱源と、炭の燃焼による還元作用を組み合わせることで、伝統的な登り窯や穴窯の持つ炎の力に匹敵する美しい窯変を、より綿密にコントロールされた環境で生み出すことを目指すものです。
作品の表面がなめらかで手触りが良いことも、この挑戦的な焼成から生まれた大きな特徴の一つです。
高木氏はこの技法への取り組みについて、このように語っています。
「電気窯は温度管理がしやすく、そこに炭を入れることで、備前焼の持つ表情豊かな窯変を再現しようと考えました。試行錯誤の連続でしたが、この技法によって、作品の表面がなめらかになり、手触りが良くなりました。これが、『かわいい備前焼』と評される、私の作品の大きな特徴になっています」
日常の食卓に寄り添う「パートナー」としてのうつわを

高木氏は、自身の作品を「毎日の食卓で気兼ねなく使えるもの」と位置づけ、単なる道具ではなく、生活に寄り添うパートナーのような存在を目指しているそう。
「毎日の食卓で気兼ねなく使えるものにしたい」
そのため、見た目のかわいらしさだけでなく、使いやすさにもこだわって作られています。
丸みを帯びたフォルムは手に馴染みやすく、滑らかな手触りは、使うたびに心地よさを感じさせます。
この姿勢は、備前焼という伝統的な焼き物の敷居を下げ、若い世代にもその魅力を広めることに繋がっています。
InstagramなどのSNSを通じて、高木氏の作品は多くの人々の目に留まり、「備前焼ってこんなにかわいいんだ」という驚きとともに、新たなファンを獲得しています。
高木氏は、自身の作品を単なる「道具」ではなく、「生活に寄り添うパートナー」と位置づけています。
使い込むほどに手に馴染み、味わいを増していく備前焼のように、日々の暮らしに寄り添い、喜びや安らぎを与えてくれる存在であって欲しいと願っています。
未来への展望、そして次世代への継承
「今しか作れない作風がある」と語る高木氏。自身の作品の進化を常に追求しています。
「もっと経験を積んで、60代、70代になった時に、今の技法が自分のスタイルになったらいいなと思っています。
備前焼の伝統を守りつつ、新しい表現方法を模索していくことが、私の使命だと感じています。
今作っているような、誰でも作れる形を、いつか誰かに引き継いでいってほしい」
伝統を重んじながらも、革新的なアプローチで備前焼の新たな可能性を切り開く高木純氏。
その作品は、日本の伝統工芸の未来を担う、力強いメッセージを放っています。
備前の地で育まれた伝統と、高木氏の独創的な感性が融合した「かわいい備前焼」は、これからも多くの人々の心を豊かにしていくことでしょう。
備前焼は、茶道具や花器などに見られることが多く、ふだん使いしにくいイメージがある方もいるかもしれません。
ただ、釉薬を使わないことによる、マットな質感はすべりにくく、手になじみとても使いやすいです。
また、窯変による偶然から生まれるオンリーワンの模様は、量産品にはない個性があります。
ぜひ、高木さんの作品を手に取って、備前焼の魅力をより多くの人に知っていただきたいと思います。
高木さんの作品は、イベントなどの他に以下のサイトでも購入できますよ。
〇高木さんの作品を扱うサイト:https://www.creema.jp/c/utsuwatakagi (Creema)
■高木純氏プロフィール
1982年 神奈川県横浜市生まれ
2006年 京都伝統工芸専門学校 陶芸コース入学
2008年 同校卒業後、伝統工芸士 猪俣政昭氏に師事
2013年 窯を購入し作家活動開始
所属 :備前焼陶友会 青年部
Instagram:https://www.instagram.com/utsuwa_takagi/
Facebook:https://www.facebook.com/jun.takagi.71653

