有田焼の陶芸作家、大串真司さん。
家業を継ぎ、作家の道を歩み始めたきっかけから、伝統に新たな息吹を吹き込む創作活動の現在、そして未来への展望について、インタビューからその想いを紐解きます。
有田焼 惣次郎窯・大串真司さん―伝統技術から生まれる、新たな藍色の世界
陶芸作家の道へ:自然な流れの中で見つけた天職

大串さんは、幼い頃から作家であるお父様の仕事ぶりを見て育ち、ものづくりが身近にある環境で育ちました。
有田焼の道に進んだのは、ごく自然な流れでした。
お父様から「継がなくてもいい」と言われていたものの、自然とこの道に入っていったと語ります。
お父様が語っていた「ものづくりと販売、そして生活を成り立たせることは大変だ」という言葉を、今になって理解できるようになったと言います。
本格的にこの道に入ったのは20歳頃。最初は轆轤(ろくろ)ではなく、絵付けから学び始めました。
お父様から「絵付けを外注するにしても、自分で絵が描けなければ言葉のやりとりが難しい」と教えられたことがきっかけでした。
独自の作風を追求:伝統技法を軸に広がる表現

有田焼の伝統的な技法を基盤としながらも、大串さんは自身の作品に独自の解釈と挑戦を取り入れています。
特に絵付けにおいては、昔ながらの「染付(そめつけ)」に回帰し、その可能性を追求しています。
30代になり「自分らしさ」を追求したいという思いが芽生え始めると、お父様が作るろくろの形だけでなく、自らも形づくりから手掛けることで、より作家性の高い作品を目指しました。
40歳頃、器ギャラリーのオーナーとの出会いをきっかけに個展を開催するチャンスを得ると、当時の惣次郎の作風から脱却することを試みました。
当初は、伝統的な染付から離れ、現代的な「青磁(せいじ)」や「萌黄(もえぎ)」といった新しい釉薬を使った作品に挑戦。しかし、そうした作品にはどこか「軽さ」を感じ、物足りなさを感じたそうです。
様々な作風を試すうちに、やはり「染付が良い」という思いに至り、現在は染付にこだわり、より深みのある作品づくりを目指しています。
創作の原点とこだわり:作家としての技術と情熱

大串さんの作品には、長年の修行で培われた確かな技術と、ものづくりへの情熱が息づいています。
現在は、ろくろも絵付けも、制作工程のほとんどを一人で手掛けています。
この一貫した制作スタイルは、「自分が一から十まで手掛けたものを届けたい」という強い思いがあるからです。
作品のインスピレーションは、その時の思いつきや、これまでに見てきたものから生まれます。
昔の古伊万里などの資料を参考にすることも多いと言います。
未来への展望:伝統を未来へつなぐ
大串さんは、これからも伝統的な有田焼の魅力を大切にしながら、新たな挑戦を続けていきたいと考えています。
作品を通じて「選ぶ楽しさ」と「使う楽しさ」を届けたいと考えており、そのため、あえて同じ形の器でも絵柄をすべて変えたり、グラデーションにしたりと、手に取る人がそれぞれの好みで選べるような工夫を凝らしています。多くの人が使う楽しみを見つけ、より深く作品を愛してくれることを願っています。

今後もできる限り、一から十まで自分で手掛けた作品を世に出していきたいと考え、自身の技術と伝統を、次の世代へとつないでいきたいという強い思いを持っているそうです。

惣次郎窯の公式サイトでは、古伊万里を思わせる伝統的な染付の器を基調に、イッチンや吹き付けといった新しい技法も模索していることが紹介されています。
伝統を大切にしながらも、現代の感性を取り入れた作品づくりへの熱意が伝わってきます。
伝統的な技法や模様を守りつつも、時代に合った染付を追求している大串さん。
洋風のインテリアにも溶け込む、モダンな雰囲気を感じる器は、日常からおもてなしまでさまざまな場で活躍します。
ティーカップなどは、スープカップとして使い洋食器と合わせてコーディネートするのも素敵ですよ!
繊細な絵柄の惣次郎窯さんのうつわを使って、いつもの食卓をちょっとおしゃれに彩ってみませんか。
主張しすぎないデザインなので、長く飽きずに愛用できますよ。
惣次郎窯・大串真司さんについて
■経歴
昭和51年生まれ
平成10年より現代の名工である父・惣次郎に師事
ロクロ・絵付け・いっちん等々、様々な技術を磨きつつ、自分スタイルを追求
令和2年 吉祥寺にて初個展
同年10月 1級技能士取得(絵付け部門)
令和5年 有田国際陶磁展 日本経済新聞社賞受賞
公式HP:https://www.soujirougama.com/


