黒髪山陶芸村を歩く – 宝寿窯さんとの再会と陶芸の里の発見

佐賀県武雄市、深い緑に囲まれた黒髪山の麓に広がる「黒髪山陶芸村」。
複数の窯元が点在し、地域全体がまるで一つの大きな工房のような雰囲気を漂わせています。

今回の旅は、以前からご縁のある宝寿窯さんを再び訪れることから始まりました。

宝寿窯 – 自然と人の心が響き合う器


宝寿窯の工房に足を踏み入れると、まず迎えてくれるのは、山本文雅さんの穏やかな笑顔と温かい空気感です。
訪れる人への心遣いが先に伝わってくるようで、日々の疲れがふっと和らぎます。

一見木製のようですが陶器製のうつわ!

棚に並んだ器を手に取ると、そこには土と釉薬が織りなす壮大な自然の風景が宿っていました。
まるで溶岩が流れ出すような赤と黒のコントラスト、木目を思わせる柔らかな線、そして岩肌のようにごつごつとした力強い質感…。
どの作品も、この土地の「自然のかけら」をそのまま写し取ったかのようです。

ギャラリーの様子

山本さんが大切にしているのは「創りたいものを、創りたいときに、魂がそう言うときに創る」という創作の理念。
自然や偶然に身を委ね、心の声に従って形にされた器だからこそ、使う人の日常にすっと溶け込み、豊かな気持ちや安らぎをもたらしてくれるのだと感じました。

現地を訪れて、あらためて、この恵まれた自然環境が創作の源になっているように思えました。

黒髪山陶芸村の歴史と魅力

引用画像:武雄市観光協会HP

黒髪山陶芸村の歴史は、約300年前にまで遡ります。
江戸時代、この地で磁器の原料となる陶石が発見されたことが始まりでした。
豊かな自然に恵まれた環境は、陶芸家たちの創作意欲を掻き立て、多くの個性的な窯元がこの地に集まりました。

佐賀県は、有田焼や伊万里焼といった、日本を代表する磁器の産地として知られています。
しかし、黒髪山陶芸村では、伝統的な技術に加え、それぞれの作家が独自の感性を活かした個性豊かな作品を生み出しているのが大きな特徴です。
特に、土のぬくもりを活かした素朴な風合いのものが多く、日常の食卓に彩りを与えてくれます。

引用画像:武雄市観光協会HP 秋の窯開きの様子

また、この地域は窯元が密集しているため、窯元を巡りながら散策を楽しむことができます。
自然の中を歩き、それぞれの工房の雰囲気を肌で感じ、直接作家さんとお話ができるのも、陶芸村ならではの醍醐味です。

陶芸村の奥深さを知る、もう一つの旅

村の入口には各窯元の看板が

宝寿窯を後にし、村の小道をゆっくりと歩きたい気持ちはあったものの、今回は時間の都合上、他の窯元に立ち寄ることはできませんでした。
代わりに車でエリアを一周し、道沿いに点在する工房や煙突を眺めながら、「この地にはまだまだ多くの作り手さんが暮らしているのだ」と改めて実感しました。

引用画像:武雄市観光協会HP  過去のイベントのマップ・窯元が点在

車で通り過ぎただけでも、この道沿いには「辻修窯」「いろえ工房」「桃林窯」「関古雅窯」「房空路」「泥縄窯」など、個性豊かな工房の名前が次々と目に飛び込んできます。

今回の訪問は、黒髪山陶芸村全体の奥深さを知るための入口に過ぎなかったのかもしれません。
それぞれの工房には、それぞれの歴史や物語があり、一つとして同じものはありません。

次回は、それぞれの工房をじっくりと時間をかけて巡り、直接作り手の皆さんとお話をしてみたいと思います。

暮らしに寄り添う器と人との縁


黒髪山陶芸村は、自然と人、そして器づくりが深く響き合う場所でした。

また、宝寿窯さんとの再会で感じたのは、作品の美しさだけでなく、山本文雅さんのおおらかな人柄が作品そのものに宿っているということ。
そして、その温かい空気が村全体にも広がっているように思えました。

豊かな自然の中で、作家たちが心を込めて作り出す器は、使う人の日々の暮らしに寄り添い、安らぎと彩りを与えてくれます。
今回の旅は「再会」と「発見」の時間。

毎年、11月下旬には「黒髪山陶芸作家村秋の窯開き」が行われるなど、イベントも随時開催しています。
次回は、イベントに合わせて訪問し「滞在」と「出会い」を重ね、この土地の奥深さをさらに知っていきたいと思います。

佐賀県観光公式サイトあそぼーさがより「秋の窯開き」の様子

宝寿窯・山本 文雅さんについて
■プロフィール
1980年 佐賀県展入選
1989年 サージマリジス賞 受賞
1990年 ニューヨークジャパン大賞 受賞
1991年 国際芸術ニューヨーク展 国際芸術大賞受賞
1991年 ART SPEAK賞 受賞
2000年 九州山口陶磁展 入選
公式HP:https://houjugama.jp/
Instagram:https://www.instagram.com/bunga.yamamoto/

黒髪山陶芸村について
佐賀県武雄市にある黒髪山の麓に位置し、多くの窯元(陶磁器作家の工房)が集まっている地域。
ギャラリーにカフェを併設している窯元もあり、そこで器を使った料理を楽しんだり、作品を購入も可能です。
また、毎年秋には窯元が一斉に作品を公開する「窯開き」が開催されます。
https://takeo-kamamoto.com/

目次