こんにちは。
今回は、日本伝統工芸展のレポートをお届けします。

日本伝統工芸展は、陶芸、染織、漆芸など7部門の公募作品および、重要無形文化財保持者(人間国宝)の最新作が展示されるイベントです。
私はうつわが好きなので、陶磁器や漆器を見たいと思い初めて訪れました。
「伝統工芸」の展示会というと、シーンとした会場で、専門用語満載の解説文をひたすら読むという、敷居の高いイメージがありました。
しかし、実際行ってみると、「伝統」というイメージとは異なる、
今の時代ならではのユニークな造形の作品に出会うことができました。
この記事では、日本伝統工芸展の魅力や見どころポイントをお伝えします。
どんなイベントか気になっている方は、ぜひお読みくださいね。
日本伝統工芸展とは?
日本伝統工芸展は、公益社団法人 日本工芸会が毎年開催する、日本の伝統工芸の保護・育成を目的とした公募展。1954年(昭和29年)に始まった歴史ある催しです。
陶芸、染織、漆芸など7部門の公募作品とともに、重要無形文化財保持者(人間国宝)の最新作が出展。
第72回目の今回は、伝統技法に現代の生活にあった新しい表現方法を取り入れた作品など、約550点が会場である三越本店に展示されます。
日本伝統工芸展のみどころポイント!
1.7つのジャンルの作品を1度に鑑賞できる

この展覧会の最大の魅力は、7つの異なるジャンル(陶芸、染織、漆芸、金工、木竹工、人形、諸工芸)の作品を一度に鑑賞できること。
美術館の企画展などでは、1つの作者や時代などにフォーカスしたものが多く、ジャンルを超えた作品をこれだけ多く見ることは意外とありません。
私は、ふだんあまり縁のない、染織のコーナーで、さまざまな文様の着物を鑑賞。
このイベントがなければ、見る機会のなかった作品に出会えるのはいいなと思いました。
それぞれのジャンルで受け継がれてきた技法の違いを感じることができ、日本の工芸の奥深さを知ることができます。
デザインやものづくりに関わる方は、参考になるのではないでしょうか。
2.若手から人間国宝までさまざまな作り手の作品に出会えます

日本伝統工芸展には、伝統工芸の第一線で活躍する人間国宝から、将来を担う若手作家まで、幅広い世代の作り手の作品が出品されます。
展示されている550点の作品は、公募総数1,128点より厳正な審査を通過した逸品ぞろい。
工芸にものすごく詳しいとはいえない私でさえ知っている、酒井田柿右衛門、徳田八十吉などの作品とともに、若手作家の斬新な作品が同じ空間に並ぶ様子は迫力があります。
同じジャンルでも、作家によって表現方法や作風が全く異なる点に注目して鑑賞すると、よりいっそう楽しめます。
3.作品の細部まで鑑賞できます

展示されている作品は、ほとんどの作品が間近で見られるように展示されています。
特に、陶芸作品はケースがなく、そのまま台に置かれているので、うつわの内側や表面などを細かく観察できます。
また、漆芸や金工、竹細工などは、外側のみガラスで囲われているため、漆器の箱に描かれている繊細な絵付けなどを上からじっくり見ることができたのは良かったです。
このほか、陶器の文様や、染織の細かな図柄など、写真や図録では伝わりにくい細部や質感までも感じることができました。
作家の繊細な手仕事や、素材の持ち味を活かした表現を間近で感じられるのは貴重です。
4.製作工程なども学べます

メイン会場と別に、1階中央ホールでは、各ジャンルの製作工程や道具が分かりやすく解説されているコーナーが設けられています。
これにより、作品がどのようにして生まれるのか、どんな技術が使われているのかを視覚的に学ぶことができます。
作品を鑑賞する前後にこのコーナーを見ることで、各作品への理解や興味がより深まります。
また、会期中には実演や講演会なども開催されるため、運が良ければ作り手の話を聞くこともできますよ。
5.三越本店をギャラリーとして楽しめます

会場となる日本橋三越本店は、その建物自体が歴史的価値のある芸術作品です。
工芸品を鑑賞しながら、三越本店の荘厳な雰囲気を味わえるのもこの展覧会の醍醐味の一つです。
4で紹介した、1階ホールには天女像があり、展覧会と相まって特別な雰囲気を感じます。
また、6階には美術ギャラリーがあり、2つの陶芸展も開催。
私も帰りに立ち寄り、初めて知った作家さんの魅力的な作品に出会えました。
さらに、個人的におすすめなのが、5階の食器売場
百貨店にしては、作家物のうつわの品ぞろえが充実してるので、ときどき立ち寄ります。
工芸展とともに、三越のアートスポットを楽しむのもおすすめの過ごし方。
買い物ついでに、気軽に日本の美に触れることができます。
陶磁器のギャラリートークを聞いてきました!

私は、花里麻理(茨城県陶芸美術館副参事兼学芸課長)さんによる、陶芸のギャラリートークを聞きたかったので、開始時間に合わせて訪問。
受賞作品をいくつかピックアップし、専門家ならではの解説を聞くことができました。
また、審査のポイントは「創造」。
伝統という言葉とはやや真逆な、攻めた作品であるかが審査基準の1つであるとのこと。
そういえば、色や模様がユニークで、どうやって作ったのだろうと思わせるものや、大胆なデザインのものなど。
ふだん使う「うつわ」には見られない個性的な作品が多数見受けられました。
以下受賞作品をピックアップしますね!

川の向こうにビルが並んでいる光景を染付で表現。今の時代らしい作品ですね。

墨出しという、墨に浸けた糸を弾いて線を施す技法を駆使している作品。
伝統工芸が気になるなら行ってみて!お買い物ついでにギャラリーに立ち寄る感覚で
「伝統工芸」と聞くと、少し難しく感じるかもしれませんが、日本伝統工芸展は百貨店で開催されるため、非常にアクセスしやすいのが特徴です。
しかも入場料は基本的に無料なので、気軽に日本の美しい手仕事に触れることができます。もし工芸品に少しでも興味があるなら、この機会に足を運んでみてはいかがでしょうか。
あなたの五感を刺激する、素敵な作品との出会いが待っているかもしれませんよ!

