東京黎明アートルーム「春をことほぐ 花鳥図屏風と鍋島」鑑賞レポート

こんにちは。
今回は、東京・東中野にある「東京黎明アートルーム」で開催中の「春をことほぐ 花鳥図屏風と鍋島」の鑑賞レポートをお届けします。

「東京黎明アートルーム」は焼き物をテーマにした展覧会を年に数回開催。
以前より、うつわ好きなら1度は行ってみたいと思い、ようやく足を運ぶことができました。

この記事では、展覧会で目にした「鍋島焼の魅力」についてお伝えします。
うつわ好きだけでなく、着物の模様などデザインが好きな方もぜひお読みください。

目次

会場は「東京黎明アートルーム」都会の喧騒を忘れる「アートの隠れ家」

JR総武線・都営大江戸線の「東中野駅」から歩いて数分。
駅前のロータリーから少し離れた、落ち着いた住宅街の中に「東京黎明アートルーム」はあります。

ここは、派手な看板を掲げた大規模な美術館とは異なり、知る人ぞ知る贅沢な空間。
一歩足を踏み入れると、外の喧騒が嘘のように消え去り、静かで凛とした空気が流れています。
まさに、大人のための「隠れ家ギャラリー」といった趣です。

鍋島焼を堪能:江戸のデザイナーたちが生んだ、洗練とモダンの極致

本展の見どころは、なんといっても「鍋島焼(なべしまやき)」のうつわです。
「鍋島」と聞くと、「お殿様への献上品で格式が高そう」などというイメージをを持つ方も多いかもしれません。
しかし、実際には、驚くほど現代的で、洗練されたデザインのものが多く、普通に欲しくなってしまいそうな作品ばかりでした。

上品な色使いと多様な柄に魅了

鍋島焼は、肥前国(現在の佐賀県)の鍋島藩が、将軍家や諸大名への贈答用として「採算度外視」で作らせた日本磁器の最高峰です。それゆえに、どの作品も職人の高度な技術を感じました。

まず目を引くのが、その色使いです。
濁りのない真っ白な磁肌に、鮮やかな藍色の「染付」、そして赤・黄・緑の「色絵」が美しく映えます。

さらに、素晴らしかったのは青磁のうつわ。
白磁と青磁が交互に帯状にデザインされた大皿などは、数百年前のものとは思えないほどモダンな構図でした。

そして注目すべきは、文様のバリエーションの豊富さ。
特に気になったのは、蜘蛛の巣などの少し珍しい柄の「吉祥文様」のうつわです。

蜘蛛の巣は、富や幸せをつかむという縁起柄で、江戸時代の着物などにも使われていたそう。
また、スペードのような形の水葵(みずあおい)は、徳川家の葵の御紋を意識したとのこと。
うつわと解説文を交互に見比べながら、文様にこめられた意味や時代背景などを知ることができたのはとても有意義でした。

遊び心あるユニークな形状のうつわに釘付け

さらなる見どころは、うつわの造形です。
円形のお皿だけでなく、花弁をかたどった輪花の鉢や、葉の形を模した変形皿や太鼓をかたどった香炉など、ユニークな造形のものも多く展示されていました。

これらは、当時の格式高い宴の席を彩ったものだそうですが、「今の暮らしの食卓に並んでいても、きっと素敵だろうな」と、つい現代の生活に重ねて想像してしまいます。

古い伝統の中に、今も色褪せない「暮らしを楽しむセンス」が息づいている。
それこそが鍋島焼の大きな魅力なのだと感じました。

美術館ビギナーさんも楽しい!分かりやすい解説文

今回の展覧会で特に印象的だったのが、解説文の分かりやすさです。
美術展の解説というと、難解な専門用語が多用され、長文であることが多いです。

しかし、本展の解説は、語り口調で親しみやすいのが特徴。
また、クイズのような興味をひくパネルを並列で展示するなど、とても工夫されています。
そのため、ふだんあまり美術館に行かない人や、焼き物にあまり詳しくない人でも、理解しやすく楽しめる内容になっています。

うつわの「裏側」も見どころです!

さらに注目して欲しいのは、「うつわの裏面」
高級な献上品である鍋島焼は、高台(底の部分)や裏面にまで、緻密な文様(七宝文や櫛目文など)が施されていることが多いのです。

この展覧会では、解説文に裏面の説明文も載せているのがとても親切。
また、作品によっては、横に裏面の写真を並べて展示、両面を1度に鑑賞できる満足感があり、うつわ好きにはありがたい見せ方でした。

焼き物以外の見どころも満載・屏風や仏像も鑑賞

エントランスにある持国天・多聞天立像(平安時代)

この展覧会では、鍋島焼以外にも、アジア各地の仏像や「百人一首画帳」など新春にふさわしい展示品を見ることができました。

特に印象に残ったのは、狩野派の「花鳥図屏風」。
鮮やかな色彩で描かれた動植物の絵が、薄暗い空間の中で立体的に引き立つ様はとても迫力がありました。

また、手前にはパキスタンやアフガニスタンの仏像が整然と並び、寺社のような空気感も味わうことができました。
今回は、鍋島焼目当てで訪れたのですが、他のジャンルの展示品のクオリティも高く、とても充実したひとときでした。

「次はどんな展示だろう」と期待させてくれる場所

「東京黎明アートルーム」は、年に何度か焼き物に関する展覧会を行っています。
過去には青磁、陶俑、漆器なども取り上げており、うつわ好きとしては今後も注視したいアートギャラリーです。

うつわを見て学ぶ・両方が同時に楽しめる希有な展示でした

地下には茶室がありました

今回は、過去に東京国立博物館などで見た「鍋島焼」の繊細な図柄を見たいという思いと、「東中野」というややメジャーではない場所にある、美術館への興味から足を運びました。

「小さな美術館で、展示品も少ないかもしれない…」
そんな心配はすぐに消え、バリエーション豊かな多くの展示品と丁寧な解説文を読み進めることで、鍋島焼の魅力を再認識できました。

工夫された展示のおかげで、美しさを愛でるだけでなく、ギャラリートークを聞いたような満足感がありました。

さらに、東中野駅から徒歩8分という立地だからこそ、「本当に作品好きな人、興味がある人」だけが訪れるという、贅沢な展示空間を実現していると感じました。

うつわだけでなく、美術品や工芸品に興味のある方は、東京黎明アートルームの展覧会予定をぜひチェックしてください。
平日であれば、充実した展示品をほぼ貸し切り状態で鑑賞することができますよ!


【展覧会情報】
「春をことほぐ 花鳥図屏風と鍋島」
会場: 東京黎明アートルーム(東京都中野区東中野2-10-17)
会期: 2026年1月19日(月)~2月28日(土)
*休室日 :2月4日(水)、2月10日(火)、2月15日(日)
開館時間: 10:00~16:00
入館料: 一般 600円、20歳未満 無料
公式サイト: http://www.museum-art.torek.jp/
※詳細は、お出かけ前に公式サイトをご確認ください。

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